Beach Boys' Party! Uncovered And Unplugged
Brian Wilsonが来年4月に来日する。
Brian Wilson 50 Anniversary of “Pet Sounds” Japan Tour と銘打たれたこのコンサートはすべてのポピュラー音楽ファンが見逃してはいけないものになる。
彼の来日公演ということでは、僕は1999年のあの感動のソロコンサートから2012年のThe Beach Boysとしてのコンサートまで必ず観てきた。
今回と同じくPet Soundsの再現ライブもあった。
Smileのライブもあった。
その都度感動を味わってきた。
しかし、おそらく今回のこれは特別なものになる予感がする、何の根拠もないけれど。
僕は既に2016 年4月15 日 大阪 オリックス劇場の公演を予約した。
The Beach Boysは僕にとって10代の頃から聴き続けてきた特別なバンドだ。
おそらく公式音源は全部入手しているはずだ。
一生ものの名曲が多いけど、中にはあまりの出来の悪さに聴いていることが辛くなってしまうものも正直あった。
そんな玉石混交含めて丸ごと愛してやまないバンドだ。
2012年にデビュー50周年で再結成し新譜を出して来日した時は、これで思い残すことが無くなった、と思った。
その後再度分裂して現在のわけ分からない状態になった時は、このままでは死んでも死にきれない、と思った。
そしてiPhoneで全音源を持ち歩いて年中聴いている。
そんな盲目的なファンなのだけど、やはり彼らの音楽的ピークは明白で、1964年の“All Summer Long”から1966年の“Pet Sounds”ということになってしまうだろう。
このあたりのアルバムリリースをUSでの発売を元に時系列で追っていくと以下のようになる。
・All Summer Long (1964年7月、ビルボードアルバムチャート最高位4位)
・Beach Boys Concert(1964年10月、同チャート1位、彼らにとって初の1位)
・The Beach Boys' Christmas Album(1964年11月、同チャート6位)
・The Beach Boys Today! (1965年3月、同チャート4位)
・Summer Days (And Summer Nights!!) (1965年7月、同チャート2位)
・Beach Boys' Party! (1965年11月、同チャート6位)
・Pet Sounds(1966年5月、同チャート10位)
Beach Boys' Party!発売の直後にこの時期の最重要シングルであるThe Little Girl I Once Knew が発売されているが彼らにしては惨敗ともいえるビルボードチャート20位に終わっている。
上記の流れを見ても、当時の売り上げ至上主義のレコード会社による企画主導のせいでBrian Wilsonの進化と真価が見えにくくなっている。
企画ものを除けて再度見てみると以下の通り。
・All Summer Long (1964年7月)
・The Beach Boys Today! (1965年3月)
・Summer Days (And Summer Nights!!) (1965年7月)
・The Little Girl I Once Knew (single、1965年11月)
・Pet Sounds(1966年5月)
すっきりした。
そして、2年間で4枚のアルバムと1枚のシングルの凄いクオリティのロック/ポップスの進化の流れが登場した。
これらのアルバムの中でも捨て曲やカバー曲もあるから、重要曲を取り出して一度聴いてみることをお勧めする。
I Get Around、All Summer Long、Little Honda、We'll Run Away、Wendy、Girlds On The Beach、Drive-In、Don't Back Down、Good To My Baby、Don't Hurt My Little Sister、When I Grow Up (To Be A Man)、Dance Dance Dance、Please Let Me Wonder、Kiss Me Baby、She Knows Me Too Well、The Girl From New York City、Amusement Parks USA、Salt Lake City、Girl Don't Tell Me、Help Me Rhonda、California Girls、Let Him Run Wild、You're So Good To Me、The Little Girl I Once Knew、そして Pet Sounds の全曲、ついでにトドメのGood Vibrations(single1966年10月)とHeroes And Villains(singleは1967年7月)を足して聴いてみよう。
The Beatlesの進化もびっくりの凄いことになっているから。
そうだ、ついでにThe Beatlesのこの時期のアルバムを合わせてみるとこうなる。
・A Hard Day's Night /The Beatles (1964年7月)
・All Summer Long /The Beach Boys(1964年7月)
・Beatles for Sale/The Beatles (1964年12月)
・The Beach Boys Today! (1965年3月)
・Summer Days (And Summer Nights!!) (1965年7月)
・Help! /The Beatles (1965年8月)
・The Little Girl I Once Knew (single、1965年11月)
・We Can Work It Out c/w Day Tripper (single、1965年12月)
・Rubber Soul/The Beatles(1965年12月)
・Pet Sounds(1966年5月)
・Paperback Writer c/w Rain/The Beatles (single、1966年6月)
・Revolver/The Beatles (1966年8月)
・Good Vibrations/The Beach Boys (1966年10月)
・Penny Lane c/w Strawberry Fields Forever /The Beatles(1967年2月)
・Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band/The Beatles (1967年6月)
・Heroes And Villains/The Beach Boys(1967年7月)
おおお、今まであまりこうして俯瞰したことがなかったけどすさまじい。
そして冷静に見るとPet SoundsまではThe Beach Boys (というよりBrian Wilson)の進化がThe Beatles (というよりJohn LennonとPaul McCartney)の進化を上回っているように見えませんか?
見えますよね?
ほーらそうですよね?
そういうことにしておこう。
実際にはCarl やDennisがライヴァルであるThe Beatlesに夢中になったり、BrianがUS版Rubber Soulを聴いてその統一感と捨て曲なしの構成に焦燥したり、The BeatlesがPet Soundsを聴いて感心しサウンドプロダクションを深化させたりして、お互いに意識していたようだ。
完全主義者であるBrianはそんな強力なライヴァルであるThe Beatlesの音楽的な成熟からのプレッシャーと、売れる作品を作れ-というレコード会社(キャピトル)のプレッシャー、実際のチャートアクションと自分が作る音楽の充実のギャップ、他のメンバー、特にMike Loveとの方向性のズレ、父親の横暴、頭の中になっている音を具現化する試行錯誤-などに独りで立ち向かった結果、幻のアルバム、Smile制作中に壊れてしまうことになる。
このころの音楽ファンが無理解だとは言わないが、後世のまじめな音楽ファンにはBrianの独自の進化/深化のすばらしさは十分に評価されている筈だ。
その証拠にPet Soundsは2003年にRolling Stone Magazineの選ぶ 500 greatest albums of all time で堂々の2位に輝いている(1位はSgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band)、リリース時のウイークリーアルバムチャートでは10位どまりだったのに。
2004年のBrianのソロアルバムとして再現されたSmileは本当に素晴らしく、これが1967年に発売されていたら・・・という白昼夢に多くの音楽ファンを引き込んだ。
話が横にそれたままどんどん進んでしまったが、今回取り上げるのはBrianの進化を分かりやすくするために先ほど除外してしまった分かりにくいアルバムである、Beach Boys' Party! だった。
当時、ライブアルバムがThe Beach Boys初の1位になり喜んだキャピトルはその後のアルバムセールスが振るわなかった(≒1位にならなかった)ことから、再度ライブレコーディングを要求した。
それに一部応える形で制作されたのが企画色強いこのアルバムだ。
バーチャルのホームパーティー的ライブアルバム、というBrianならではのキャピトルに対するひねくれた回答は、それはそれで面白いアルバムとなった。
先の進化の過程と違ったところで聴くと今の耳では十分に楽しめる好盤だ。
リラックスしたホームパーティの様子をとらえたように作られているアルバムだが、初めて聴いた時から表現しがたい緊張感、用意周到な作り物感、を感じていたのは僕だけだろうか?
この度発売された Beach Boys' Party! Uncovered And Unplugged はそんな僕の長年の感覚に対して見事に回答してくれた。
つまり、これもBrianのスタジオワークが作り上げた繊細な音楽芸術だったわけだ。
そのことはこのレコーディングの全貌をとらえた2枚組81トラックを聴くとよくわかる仕組みになっている。
Disc 1
01. Hully Gully
02. I Should Have Known Better
03. Tell Me Why
04. Papa Oom Mow Mow
05. Mountain Of Love
06. You Got To Hide Your Love Away
07. Devoted To You
08. Alley Oop
09. There’s No Other (Like My Baby)
10. I Get Around / Little Deuce Coupe
11. The Times They Are A-Changin’
12. Barbara Ann
13. Let’s Get This Party Rolling (session #2 – 9/8/65)
14. I Should Have Known Better #1
15. Ruby Baby #1
16. (I Can’t Get No) Satisfaction #1
17. Hully Gully #1
18. Blowin’ In The Wind
19. Dialog: ‘The Sunrays’
20. Ruby Baby #2
21. Dialog: ‘The Masked Phantom’
22. Hully Gully #2
23. Dialog: ‘Carl, Go Get Your Bass’
24. Hully Gully #3
25. (I Can’t Get No) Satisfaction #2
26. Dialog: ‘That’s A Bad Guitar’
27. Ruby Baby #3
28. Dialog: ‘What’s The Matter Carl?’
29. Ruby Baby #4
30. Dialog: ‘Carl’s Tires’
31. I Should Have Known Better #2
32. I Should Have Known Better #3
33. Dialog: ‘Wasn’t That Great Folks?’
34. Tell Me Why #1
35. Don’t Worry Baby
36. You’ve Got To Hide Your Love Away #1
37. Little Deuce Coupe #1
38. California Girls
Disc 2
01. She Belongs To Me / The Artist (Laugh At Me) #1
02. Fooling Around: Hang On Sloopy / You’ve Lost That Lovin’ Feelin’ / Twist And Shout
03. Riot In Cell Block No.9 #1
04. Fooling Around: The Diary
05. Dialog: ‘I Think We Better Do This Next Week’
06. Dialog: ‘Let’s Cook Now And Eat Later’
07. Tell My Why #2
08. I Should Have Known Better #4
09. Dialog: ‘What I Want To Do’
10. Dialog: ‘Are We Still In The Party?’
11. Mountain Of Love #1
12. Dialog: ‘Where s Denny?’
13. Devoted To You #1
14. Dialog: ‘What Are You Doing Now’
15. You’ve Got To Hide Your Love Away #2
16. Dialog: ‘This Phony Party’ / Ticket To Ride
17. Alley Oop #1
18. Alley Oop #2
19. Dialog: ‘Tune It Like This’
20. There’s No Other (Like My Baby) #1
21. There’s No Other (Like My Baby) #2
22. Dialog: ‘Do The Splits’
23. Devoted To You #2
24. Devoted To You #3
25. You’ve Got To Hide Your Love Away #3
26. I Get Around
27. Little Deuce Coupe #2
28. Mountain Of Love #2
29. Ticket To Ride #2
30. Riot In Cell Block No.9 #2
31. The Artist (Laugh At Me) #2
32. One Kiss Lead To Another
33. You’ve Got To Hide Your Love Away #4
34. You’ve Got To Hide Your Love Away #5
35. Dialog: ‘What Did You Stop Us For Chuck?’
36. The Times They Are A-Changin’
37. Fooling Around: Heart And Soul / Long Tall Sally
38. Fooling Around: The Boy From New York City
39. Smokey Joe’s Cafe
40. Dialog: ‘I Got One More’
41. Barbara Ann #1
42. Barbara Ann #2
43. Barbara Ann #3
ね、用意周到にレコーディングしている様子がこのトラックリストでもわかるでしょう。
最初の12曲がオリジナルと同じトラックのリミックス、それ以降が1965年8月23日から9月26日にかけて行われた5回のセッションのドキュメンタリーとなっている。
自分たちの楽曲に加え、The Beatles、Bob Dylan、Stones、The Coastersなどを節操なくやっていて、他方ですさまじく進化している筈のBrian Wilson Music を見えにくくするカモフラージュのようになっている。
本編である最初の12曲も、シングルヒットとなったBarbara Ann以外は一聴するとサウンドのシンプルさが仇になって未完成の様相をたたえている。
しかしこれもBrianの緻密な計算によるサウンドプロダクションなのだろう。
半分自棄になっていたかもしれないけど。
個人的にはStonesのカバーである、 (I Can't Get No) Satisfaction がオリジナルとは別のフラストレーションを代弁しているように聴こえて興味深かった。
特に2回目の方。
また、Barbara Ann #2の途中でホンの一瞬、StonesのPaint It Blackのフレーズと思しきプレイも聴かれ、この時期Brianやメンバーはどんな位置づけでThe Rolling Stonesを捉えていたのだろう、と今まで気にならなかったことが気になった。
さてThe Beach Boysの、Brian Wilsonの最高傑作である Pet Sounds のことは4月のBrianのライブの時に掘り下げることにしよう。
当日に仕事を入れないように今から気を付けないと。
あ、その前に来月発売予定のBrian Wilsonの半生を描いた映画、Love & Mercy(ラブ&マーシー 終わらないメロディー、Bill Pohlad監督、John Cusack/Paul Dano主演)のblue-rayを愉しむことになるかな。
Brian Wilson 50 Anniversary of “Pet Sounds” Japan Tour と銘打たれたこのコンサートはすべてのポピュラー音楽ファンが見逃してはいけないものになる。
彼の来日公演ということでは、僕は1999年のあの感動のソロコンサートから2012年のThe Beach Boysとしてのコンサートまで必ず観てきた。
今回と同じくPet Soundsの再現ライブもあった。
Smileのライブもあった。
その都度感動を味わってきた。
しかし、おそらく今回のこれは特別なものになる予感がする、何の根拠もないけれど。
僕は既に2016 年4月15 日 大阪 オリックス劇場の公演を予約した。
The Beach Boysは僕にとって10代の頃から聴き続けてきた特別なバンドだ。
おそらく公式音源は全部入手しているはずだ。
一生ものの名曲が多いけど、中にはあまりの出来の悪さに聴いていることが辛くなってしまうものも正直あった。
そんな玉石混交含めて丸ごと愛してやまないバンドだ。
2012年にデビュー50周年で再結成し新譜を出して来日した時は、これで思い残すことが無くなった、と思った。
その後再度分裂して現在のわけ分からない状態になった時は、このままでは死んでも死にきれない、と思った。
そしてiPhoneで全音源を持ち歩いて年中聴いている。
そんな盲目的なファンなのだけど、やはり彼らの音楽的ピークは明白で、1964年の“All Summer Long”から1966年の“Pet Sounds”ということになってしまうだろう。
このあたりのアルバムリリースをUSでの発売を元に時系列で追っていくと以下のようになる。
・All Summer Long (1964年7月、ビルボードアルバムチャート最高位4位)
・Beach Boys Concert(1964年10月、同チャート1位、彼らにとって初の1位)
・The Beach Boys' Christmas Album(1964年11月、同チャート6位)
・The Beach Boys Today! (1965年3月、同チャート4位)
・Summer Days (And Summer Nights!!) (1965年7月、同チャート2位)
・Beach Boys' Party! (1965年11月、同チャート6位)
・Pet Sounds(1966年5月、同チャート10位)
Beach Boys' Party!発売の直後にこの時期の最重要シングルであるThe Little Girl I Once Knew が発売されているが彼らにしては惨敗ともいえるビルボードチャート20位に終わっている。
上記の流れを見ても、当時の売り上げ至上主義のレコード会社による企画主導のせいでBrian Wilsonの進化と真価が見えにくくなっている。
企画ものを除けて再度見てみると以下の通り。
・All Summer Long (1964年7月)
・The Beach Boys Today! (1965年3月)
・Summer Days (And Summer Nights!!) (1965年7月)
・The Little Girl I Once Knew (single、1965年11月)
・Pet Sounds(1966年5月)
すっきりした。
そして、2年間で4枚のアルバムと1枚のシングルの凄いクオリティのロック/ポップスの進化の流れが登場した。
これらのアルバムの中でも捨て曲やカバー曲もあるから、重要曲を取り出して一度聴いてみることをお勧めする。
I Get Around、All Summer Long、Little Honda、We'll Run Away、Wendy、Girlds On The Beach、Drive-In、Don't Back Down、Good To My Baby、Don't Hurt My Little Sister、When I Grow Up (To Be A Man)、Dance Dance Dance、Please Let Me Wonder、Kiss Me Baby、She Knows Me Too Well、The Girl From New York City、Amusement Parks USA、Salt Lake City、Girl Don't Tell Me、Help Me Rhonda、California Girls、Let Him Run Wild、You're So Good To Me、The Little Girl I Once Knew、そして Pet Sounds の全曲、ついでにトドメのGood Vibrations(single1966年10月)とHeroes And Villains(singleは1967年7月)を足して聴いてみよう。
The Beatlesの進化もびっくりの凄いことになっているから。
そうだ、ついでにThe Beatlesのこの時期のアルバムを合わせてみるとこうなる。
・A Hard Day's Night /The Beatles (1964年7月)
・All Summer Long /The Beach Boys(1964年7月)
・Beatles for Sale/The Beatles (1964年12月)
・The Beach Boys Today! (1965年3月)
・Summer Days (And Summer Nights!!) (1965年7月)
・Help! /The Beatles (1965年8月)
・The Little Girl I Once Knew (single、1965年11月)
・We Can Work It Out c/w Day Tripper (single、1965年12月)
・Rubber Soul/The Beatles(1965年12月)
・Pet Sounds(1966年5月)
・Paperback Writer c/w Rain/The Beatles (single、1966年6月)
・Revolver/The Beatles (1966年8月)
・Good Vibrations/The Beach Boys (1966年10月)
・Penny Lane c/w Strawberry Fields Forever /The Beatles(1967年2月)
・Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band/The Beatles (1967年6月)
・Heroes And Villains/The Beach Boys(1967年7月)
おおお、今まであまりこうして俯瞰したことがなかったけどすさまじい。
そして冷静に見るとPet SoundsまではThe Beach Boys (というよりBrian Wilson)の進化がThe Beatles (というよりJohn LennonとPaul McCartney)の進化を上回っているように見えませんか?
見えますよね?
ほーらそうですよね?
そういうことにしておこう。
実際にはCarl やDennisがライヴァルであるThe Beatlesに夢中になったり、BrianがUS版Rubber Soulを聴いてその統一感と捨て曲なしの構成に焦燥したり、The BeatlesがPet Soundsを聴いて感心しサウンドプロダクションを深化させたりして、お互いに意識していたようだ。
完全主義者であるBrianはそんな強力なライヴァルであるThe Beatlesの音楽的な成熟からのプレッシャーと、売れる作品を作れ-というレコード会社(キャピトル)のプレッシャー、実際のチャートアクションと自分が作る音楽の充実のギャップ、他のメンバー、特にMike Loveとの方向性のズレ、父親の横暴、頭の中になっている音を具現化する試行錯誤-などに独りで立ち向かった結果、幻のアルバム、Smile制作中に壊れてしまうことになる。
このころの音楽ファンが無理解だとは言わないが、後世のまじめな音楽ファンにはBrianの独自の進化/深化のすばらしさは十分に評価されている筈だ。
その証拠にPet Soundsは2003年にRolling Stone Magazineの選ぶ 500 greatest albums of all time で堂々の2位に輝いている(1位はSgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band)、リリース時のウイークリーアルバムチャートでは10位どまりだったのに。
2004年のBrianのソロアルバムとして再現されたSmileは本当に素晴らしく、これが1967年に発売されていたら・・・という白昼夢に多くの音楽ファンを引き込んだ。
話が横にそれたままどんどん進んでしまったが、今回取り上げるのはBrianの進化を分かりやすくするために先ほど除外してしまった分かりにくいアルバムである、Beach Boys' Party! だった。
当時、ライブアルバムがThe Beach Boys初の1位になり喜んだキャピトルはその後のアルバムセールスが振るわなかった(≒1位にならなかった)ことから、再度ライブレコーディングを要求した。
それに一部応える形で制作されたのが企画色強いこのアルバムだ。
バーチャルのホームパーティー的ライブアルバム、というBrianならではのキャピトルに対するひねくれた回答は、それはそれで面白いアルバムとなった。
先の進化の過程と違ったところで聴くと今の耳では十分に楽しめる好盤だ。
リラックスしたホームパーティの様子をとらえたように作られているアルバムだが、初めて聴いた時から表現しがたい緊張感、用意周到な作り物感、を感じていたのは僕だけだろうか?
この度発売された Beach Boys' Party! Uncovered And Unplugged はそんな僕の長年の感覚に対して見事に回答してくれた。
つまり、これもBrianのスタジオワークが作り上げた繊細な音楽芸術だったわけだ。
そのことはこのレコーディングの全貌をとらえた2枚組81トラックを聴くとよくわかる仕組みになっている。
Disc 1
01. Hully Gully
02. I Should Have Known Better
03. Tell Me Why
04. Papa Oom Mow Mow
05. Mountain Of Love
06. You Got To Hide Your Love Away
07. Devoted To You
08. Alley Oop
09. There’s No Other (Like My Baby)
10. I Get Around / Little Deuce Coupe
11. The Times They Are A-Changin’
12. Barbara Ann
13. Let’s Get This Party Rolling (session #2 – 9/8/65)
14. I Should Have Known Better #1
15. Ruby Baby #1
16. (I Can’t Get No) Satisfaction #1
17. Hully Gully #1
18. Blowin’ In The Wind
19. Dialog: ‘The Sunrays’
20. Ruby Baby #2
21. Dialog: ‘The Masked Phantom’
22. Hully Gully #2
23. Dialog: ‘Carl, Go Get Your Bass’
24. Hully Gully #3
25. (I Can’t Get No) Satisfaction #2
26. Dialog: ‘That’s A Bad Guitar’
27. Ruby Baby #3
28. Dialog: ‘What’s The Matter Carl?’
29. Ruby Baby #4
30. Dialog: ‘Carl’s Tires’
31. I Should Have Known Better #2
32. I Should Have Known Better #3
33. Dialog: ‘Wasn’t That Great Folks?’
34. Tell Me Why #1
35. Don’t Worry Baby
36. You’ve Got To Hide Your Love Away #1
37. Little Deuce Coupe #1
38. California Girls
Disc 2
01. She Belongs To Me / The Artist (Laugh At Me) #1
02. Fooling Around: Hang On Sloopy / You’ve Lost That Lovin’ Feelin’ / Twist And Shout
03. Riot In Cell Block No.9 #1
04. Fooling Around: The Diary
05. Dialog: ‘I Think We Better Do This Next Week’
06. Dialog: ‘Let’s Cook Now And Eat Later’
07. Tell My Why #2
08. I Should Have Known Better #4
09. Dialog: ‘What I Want To Do’
10. Dialog: ‘Are We Still In The Party?’
11. Mountain Of Love #1
12. Dialog: ‘Where s Denny?’
13. Devoted To You #1
14. Dialog: ‘What Are You Doing Now’
15. You’ve Got To Hide Your Love Away #2
16. Dialog: ‘This Phony Party’ / Ticket To Ride
17. Alley Oop #1
18. Alley Oop #2
19. Dialog: ‘Tune It Like This’
20. There’s No Other (Like My Baby) #1
21. There’s No Other (Like My Baby) #2
22. Dialog: ‘Do The Splits’
23. Devoted To You #2
24. Devoted To You #3
25. You’ve Got To Hide Your Love Away #3
26. I Get Around
27. Little Deuce Coupe #2
28. Mountain Of Love #2
29. Ticket To Ride #2
30. Riot In Cell Block No.9 #2
31. The Artist (Laugh At Me) #2
32. One Kiss Lead To Another
33. You’ve Got To Hide Your Love Away #4
34. You’ve Got To Hide Your Love Away #5
35. Dialog: ‘What Did You Stop Us For Chuck?’
36. The Times They Are A-Changin’
37. Fooling Around: Heart And Soul / Long Tall Sally
38. Fooling Around: The Boy From New York City
39. Smokey Joe’s Cafe
40. Dialog: ‘I Got One More’
41. Barbara Ann #1
42. Barbara Ann #2
43. Barbara Ann #3
ね、用意周到にレコーディングしている様子がこのトラックリストでもわかるでしょう。
最初の12曲がオリジナルと同じトラックのリミックス、それ以降が1965年8月23日から9月26日にかけて行われた5回のセッションのドキュメンタリーとなっている。
自分たちの楽曲に加え、The Beatles、Bob Dylan、Stones、The Coastersなどを節操なくやっていて、他方ですさまじく進化している筈のBrian Wilson Music を見えにくくするカモフラージュのようになっている。
本編である最初の12曲も、シングルヒットとなったBarbara Ann以外は一聴するとサウンドのシンプルさが仇になって未完成の様相をたたえている。
しかしこれもBrianの緻密な計算によるサウンドプロダクションなのだろう。
半分自棄になっていたかもしれないけど。
個人的にはStonesのカバーである、 (I Can't Get No) Satisfaction がオリジナルとは別のフラストレーションを代弁しているように聴こえて興味深かった。
特に2回目の方。
また、Barbara Ann #2の途中でホンの一瞬、StonesのPaint It Blackのフレーズと思しきプレイも聴かれ、この時期Brianやメンバーはどんな位置づけでThe Rolling Stonesを捉えていたのだろう、と今まで気にならなかったことが気になった。
さてThe Beach Boysの、Brian Wilsonの最高傑作である Pet Sounds のことは4月のBrianのライブの時に掘り下げることにしよう。
当日に仕事を入れないように今から気を付けないと。
あ、その前に来月発売予定のBrian Wilsonの半生を描いた映画、Love & Mercy(ラブ&マーシー 終わらないメロディー、Bill Pohlad監督、John Cusack/Paul Dano主演)のblue-rayを愉しむことになるかな。

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